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国際啄木学会2014南臺国際会議・台日文学交流朗読会報告(中)

国際啄木学会会長 望月 善次

前回の「台日文学交流朗読会(台湾興日本詩的交響朗誦会)」に続いて「南臺科技大学応用日語系創立20周年紀念・国際啄木学会2014南臺国際会議」について報告したい。大会テーマは、「台日相互理解としての<石川啄木>」。実行委員長は、林水福氏(南臺科技大学教授・台湾啄木学会会長)、実行副委員長は太田登氏(天理大名誉教授)。南臺科技大学の全面的な協力のもと、この二人の綿密な企画・運営によって行われた。筆者も、開会挨拶で「本会議は、南臺科技大学と国際啄木学会との友情の証であり、林水福氏と太田登氏との友情の証でもあります。」と述べた所以である。

南臺科技大学がある台南市は、台湾南部に位置する台湾第四の都市で人口約190万。台湾で最も歴史のある都市。南臺科技大学の学生数は、約2万人。台湾の大学でも少子化の影響で、定員確保は、多くの大学の課題であるが、南臺科技大学は例外的に入学者確保に悩まなくともよい大学の一つ。大会運営の実際は、鄧美華同系主任の配慮のもと、同時通訳付き会場で、終始友好的雰囲気に包まれて行われた。

会議の具体的内容は、講演、研究発表、「紀念座談会」という3つの柱によって行われたが、今回は、「4つの講演」についての報告をしたい。

なお、講演と研究発表については、梁東国氏(韓国啄木学会会長)の講演を除いて、ほとんど同一の内容が、林水福・太田登編著『(日本学研究叢書 15)石川啄木詩歌研究への射程』(国立台湾大学出版中心、2014)に収められている。

(講演1)太田登「啄木短歌の評釈への試み~『一握の砂』の<放たれし女>をめぐって。「短歌を評釈することの意味」を明らかにしようとした発表。具体的には、『一握の砂』の<放たれし女>(同137)を出発点として、「よわき男」との関連から『悲しき玩具』の<放たれし女>(同170)に及ぶ。啄木晩年の目指していた「実践」をも視野に入れた緻密且つ意欲的な内容。

(講演2)梁東国「日本の国民国家形成の中における石川啄木」。近代国家において「国民」の意識は必須のもので、その為には「想像の共同体」を形成する必要がある。明治政府は、「国民」形成を「近代天皇制」と「教育」によって達成しようとした。この過程における問題点を「地図、鉄道、日本語」の三点から考察し、啄木の意味を明らかにすると共に、竹久夢二の抵抗についても解明した。<反近代の精神>を掲げていた啄木は、国境を超えた脱境界の詩人であり批評家であったと結論づけた。

(講演3)望月善次「啄木『三行書き』短歌再考~何故『三行書き』が過大評価されたのか~」。啄木「三行書き」は、啄木短歌の特徴の主要な部分を構成せず、その意味を過大評価するのは「贔屓の引き倒し」であるというのがその結論。

(講演4)池田功(国際啄木学会副会長、明治大学教授)「石川啄木詩歌におけるオノマトペの考察」。論点を定め、具体的に実証して行くのが池田論の特徴。今回はオノマトペに焦点を当て課題を解明して見せた。従来研究の遅れていた『悲しき玩具』にも言及すると共に、『あこがれ』における未使用や晩年の口語詩の場合にも及んだ。

国際啄木学会2014南臺国際会議  2014.10.25

  開会セレモニー(盧副学長と望月会長)

開会セレモニー(盧副学長と望月会長)

 

 望月善次会長講演
  

 太田登理事講演
  

 梁東国韓国啄木学会会長講演
 

 池田功副会長講演
 
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